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うちの家族は食べることに貪欲です。おいしいものを食べたい、という気持ちが人一倍強い。探究心や好奇心が旺盛です(とくに母。量的にもしっかり食べます)。
そういう人たち(というか母…)は、流動的になりがちな旅行中の食事も、きちんととらねば気がすまない。
つまり、旅行中だからといって、食べることを疎かにしない。
わたしなどは、旅行中の朝ご飯はかなり適当でいいのだけど、サラダや卵料理も必ず作らねばならなかったり。チーズやハム、果物も必要だったり。
そのためには十分な買い出しも必要なわけで。母はスーパーに日参してました(笑)。
お昼もきちんとお肉や野菜を食べるべく、それなりのお店を探さねばならなかったり。
レンタカー2日目(30日)にダンデノン丘陵へと出かける際も、クイーンズビクトリアマーケットというマーケットで夕飯用のステーキ肉を買って、冷蔵庫に入れるべくホテルに戻ったり…。
正直いってさっさと出発したかったわたしでした(>_<)
主婦とは一般的に、旅行中くらい料理から解放されたいものじゃないかと思い、口に出すと、
「こんなのは料理じゃない」と言われ喧嘩になったり。
つまり母は普段よりぐんと楽な買い物・簡易な料理がまったく苦ではなくむしろすごく楽しいのに、それを否定されたように感じたのです。わたしとしては気遣ったつもりでしたが、意識の差が明るみに出ました(こういうこと、よくあります)。
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初日に見つけた「WOOLWORTHS(ウールワース)」というお店と、2日目に見つけた「COLES(コールス)」がオーストラリアにおける2大スーパーであるらしく、あちこちで見かけました。
とくに、フリンダース駅の前にある「COLES」には3回も行きました! お酒以外は何でもあってとても便利。パンがおいしくて気に入りました。
そして何と行ってもすごいのが、先述したクイーンズビクトリアマーケット。
オーストラリアはもちろん、南半球最古&最大のマーケットで、食品類はもちろん、衣料からインテリア用品、ペット用品、おみやげ類まで、ありとあらゆるものがある!!
26日、着いて早々に訪れたときにやっていなかったので、もう年末まで閉店なのかと思いがっかりしていたところ、上記のとおり30日にダンデノン丘陵ドライブの前に立ち寄ると、なんと開いていた!!
帰る日、31日は半日ここで過ごしました。
果物をあれこれ試食しましたが(やはり知らないものだらけ)、
プラムやりんごなど、総じて日本のように甘すぎない。
日本の果物というのは品種改良によって随分と甘くされているんだなと気づきました。
でもマンゴーは安くて甘かった。
興奮したのはこのスパイスコーナー。
ハーブやスパイス類の充実っぷりといったら。
料理好きなら大興奮間違いなしのコーナーです。どれも大体100グラム3ドルと、安い!
母とわたしと弟(←つまり父以外)はずっとこの付近でウロチョロしてました。
赤、白、黒など色とりどりの粒こしょうがミックスされたもの、ジンジャーパウダー、チキンなど肉料理に合いそうなハーブミックス…もう全部買い占めちゃいたいくらい!
なんとなく子どものころから憧れているシナモンスティック。
普段日本で買ったことはないけど、良い機会と思い、買ってみました。わーい何に使おうかな〜♪
それと、このマーケットでの大きな収穫は、トルコ石のペンダントヘッド。
気に入っていたトルコ石のペンダントをパリで紛失し、以来ずっと探していました。
なくしたものみたいに凝ったデザインではなく、石そのままだけど、満足です。
アボリジニのおじいさんのいるお店で、アボリジニのこけしみたいな木彫りの人形も買いました。
今回は叶わなかったけれど、アボリジニアートにももっと触れてみたかったな〜。
31日の気温は39度!
さすがに暑い。
スーパーやマーケットなど、食べ物関係にちょっと時間を割きすぎた感のある今回の旅行ですが、
これはうちの家族ならではだし、結果としておいしい食事ができたし、よかった。
半分住んでるみたいなスタイルの旅でした。
メルボルンは本当に住みたくなるような街でした。
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帰りは空港で、娘を二人連れて長野の野沢温泉と東京ディズニーランドに遊びに行くという家族と話をする。
うれしくて踊っちゃってる5歳くらいの娘(笑)に目をやりながら、
「ディズニーランドって言うと彼女興奮しちゃって大変なんだ…」と目を白黒させて表情豊かに語るお父さん。
飛行機で隣の席に座っていたのは、北海道のニセコに家族でスキーをしにいくというメルボルンの高校1年生、ベン君。
「ニセコ」を知らなかったわたしと母に驚いた模様。あとで知ったところによると、ニセコってオーストラリア人に人気の旅行スポットのようですね。皆さん、スキーをしに行くらしい。
「名前、ナンですか?」
「酒は、スキですか?」
「ご飯は、キライです。魚も、キライです」
などと覚えたての日本語で交流をはかってくる。
キライ、というとき、やはり表情豊かに、顔をしかめて「キライ」ということを表す。
こういうの日本人はしませんね。子どもはやるけど大人はやらない。
表情豊かなの、わたしは好きだな。感情をあまりにも出さない人は苦手。
やはり旅は素晴らしい。人との出会い、交流、見知らぬ景色や食べ物…
出会うものすべてに五感が刺激され、知らぬ間に心がわくわく、生き生きしてきます。
思い出に残る旅となりました。感謝です。
29日と30日とはレンタカーを借りて郊外へとドライブ。海外でのレンタカーは初体験。
頼りのナビがいきなり固まって参りましたが、携帯のGPS機能で何とか切り抜けました。
メルボルン市街地から南下してフィリップ島という小さな島へ。
市街地を抜けると、徐々に景色が変わってきます。
広大な牧草地が広がり、牛が草を食む…という風景は、やはり日本の田舎とは違います。
家族4人で、遠い異国をドライブしているなんて(しかも年末に)、信じがたくて、ほっぺたをつねって確かめたいような気分。
■ビーフパイ
カフェのようなお店がいくつか集まったところでお昼ご飯。
ここで衝撃的な出会いが! ビーフマッシュルームパイです! これが絶品だった!
メルボルンは何を食べてもおいしかったけれど、もちろんステーキも最高だったけど、
わたしにとってこのビーフパイが今回の旅行でおいしかったものNo.1でした!
ビーフがごろごろ入っていて、玉ねぎの甘みでしょうか、シンプルな味付けなんだけど本当においしい。
パイとのハーモニーが絶妙で…もう…。
あとで知ったのですが、ビーフパイはメルボルン名物なんだとか。
あぁしかしこのお店のビーフパイはまったく最高でした。
ちなみにこちらは両親が注文したハンバーガー。
な、なぜナイフを突き刺すのか!? 度肝を抜かれます。
そして、大きすぎ。アルミ箔をもらって持ち帰り。晩御飯にもなりました。
■コアラ保護センター
ふはーユーカリの香りが充満。いいにおい。癒されるよー。
ユーカリに癒される森なんて初めてですよー。
いたいた。コアラ発見!
コアラってユーカリの木の枝分かれしたあたりに座って眠ってるんだね。
けっこう高いところまで登るんだね。
喧嘩シーンも目撃! 激しかった。
でもおしりがかわいい…かわいすぎる…
↓眠ってる顔、わかります?
■サンレモ
メルボルンから南下してきてフィリップ島に入る入り口にあたるのがサンレモ。
イタリアのサンレモがイメージされるからその名がついたのかな。
明るくて濃い色の海は確かにそれっぽい。なんだかアラン・ドロンが登場してきそうだ。
うーーん、青い空、青い海…気持ちいいなぁ。まったくもって素敵なところだ。
ペリカンがいる海というのも初めて見た! ああ異国の海。
■ペンギンパレード
本日のハイライト、ペンギンパレード。
フェアリーペンギン(リトルペンギンともいう)という世界一小さなペンギンが海で小魚などをとって帰ってくるところを見に行くのです。これまたなんという不思議。
夏の間は毎日見られるんだとか。日没のころに1匹目が海から上がってきて、そのあと50分間くらい続くといいます。
毎日9時前まで明るかったので、9時前に1匹目が帰ってくるということになる。
海に向かって設けられた席に早い者順で座り、
ペンギンが海から上がってくるのを今か今かと待ちます。
世界各地からペンギンを観に訪れたたくさん人たち! 3000人くらいかな。
皆さん暇ですねー(笑)(って、わたしもですが)。
あまりにたくさんの人が訪れるので入場規制もしているのです。チケットがないと入れないのです。
われわれは弟が昨日出会った日本人の女の子3人組から要チケットの情報を入手し、慌ててネットで予約しました。危ない危ない。
早めに来て座っていたので、目の前のこの海で、今、小さなペンギンたちが危険に遭遇しながらも必死で子どもたちのために小魚等を捕っているんだなぁと、海を見つめながら想像していました。
見えないシーンを想像させられる観光地というのも珍しい(笑)
前の席で、抱っこされながらお父さんに“変顔”をしていた可愛らしい白人の女の子が疲れて眠ってしまい、太陽が沈んで暗くなったころ…
1匹目が現れました! ぴちぴちっと腕を振り、海から上がってきました。
海の中ではすいーーっすいーーっと機敏に泳いでいたはずのペンギン(これは想像)。
陸に上がった途端ヨチヨチとユーモラスな歩き方になります。
1日の漁を終え疲れ切っているのかな。パートナーや子どもを探しているのかな(とまたまた想像たくましく…)。
次から次へと海から上がってきます(そのたびに指差し歓声を上げる人々)。
そして、巣のあるなだらかな丘のほうにヨチヨチ上っていきます。
それを追いかけていくと…いたいた、たくさんいます! すぐ手が届くような距離に、野生のペンギンたちが。
それはもうかわいらしくて、感動的で、何時間でも眺めていたかったくらい。
でもここからメルボルン市街地まではけっこう距離があります。
後ろ髪引かれる思いで海をあとにし、再び車を飛ばす。
街灯のない真っ暗な道。
途中で降りて眺めた星空の美しかったこと。
ここは南半球の、南極に近い場所。海から上がってくるペンギンを見たことでそのことが実感されました。
素晴らしい体験をしました。
※ペンギンが失明する危険があるということで撮影禁止だったため、ペンギンの写真はありません。
※ホテルに帰りついたのは深夜1時過ぎでした。
メルボルンのお天気は変わりやすいと聞いていた。
「1日の中で四季がある」ともいわれていて、雨が降ったかと思えばすぐ止んで、日がぱぁ〜っと射してきたり、くるくると猫の目のように変化する。
すでに書いたけど、本当に湿気がなくて、爽やかで気持ちがいい。
日差しはけっこう強いが日陰に行くと寒いくらい。日本の「夏」とはまったく異なる。
着いた日(26日)も翌日もそんな感じだった。
カンカーン、というトラムの音。
ポプラやカエデかな? 日本ではあまり見かけない、大きく茂った緑豊かな樹木たち。
あれ? これはどこかで…既視感。
ヨーロッパに似ている。とくに大きな木々とトラムがウィーンを彷彿とさせる。
わたしがウィーンを訪れたのは7月だったから、気候的にも似ているんだきっと。
弟は滞在中、「何度もオランダにいるような気分になるよ」と口にしていた。
石畳ではないこと、重厚な建築物がヨーロッパの都市よりは少ないこと、人も少ないこと。
このあたりがヨーロッパとの相違点かな。
でもきっと、パブなんか入って気分よく過ごしてたら、ここはイギリスだかどこだかわからなくなるに違いない。
もともとヨーロッパやアメリカからの移民の国だからとはいえ、距離的に相当離れていることを思うと、不思議だ。
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26日〜28日は、そんなメルボルンの中心地を回りました。
26日はクリスマスの翌日、ボクシングデー(やはり欧州と同様)で、閉まってるお店が多かった。
■カールトン公園・王立博覧会ビル
メルボルンは「ガーデンシティ」と称されるほど公園が多い。
「王立博覧会ビル」は世界遺産だそうだけど、特に感動を覚える建築物ではなかったような…
中に入ったらまた全然違うのだろうけど。
■聖パトリック大聖堂
■フリンダース駅
「魔女の宅急便」に出てくる時計台のモデルになってる駅だそうな。
おお、そういえばこんなだったよ!
■中華街
■キャプテンクックの家
■Degraves St
カフェが建ち並ぶ通り。
■ヤラ川
街の南側を、東西に流れています。
■UGG shop
じつは今年買ったんです。UGGブーツ。まさか本家オーストラリアに行くことになるとは思っていなかった!
街の至るところで見かけます。大体1万円ちょっとくらいかな。やはり安い。
夏だから履いてる人はいないけど。
ヤラ川のほうにブラブラ歩いていくと…おお、ちゃんとしたアグショップ発見!
レジのあたりに、フワフワムートンがついた長方形のタグがfreeでいっぱい置かれています。
うれしくなってたくさん頂戴しちゃいました(何かに使えそう! もっともらってきてもよかった…!)。
25日クリスマスの夜8時成田発、カンタス航空にてシドニーへ。
シドニーからメルボルンへ。
どの空港にも、大きくて美しいクリスマスツリーが。※写真はシドニーの空港の。
カンタス航空はアルコール飲み放題という太っ腹。
父、スコッチウィスキーを2杯飲み、具合が悪くなる…。
メルボルンの空港からシャトルバスに乗ってサザンクロス駅に到着。
小雨が降っていて寒い。
コリンズ通りにあるホテルはキッチンつきで機能的。
冷蔵庫や湯沸かし器はもちろん、オーブンもトースターも電子レンジもあって、
自動食洗器まである! 素晴らしい。
広いし、白を基調としたモダンなインテリアが素敵で、気に入りました。
毎日自炊するとは思っていなかったのですが、
結局市場やスーパーで仕入れてきた食材で、朝も夜もずっと自炊。
オージービーフやパンやチーズ、サラダや果物など堪能しました。
夕飯の一例。
オージービーフ(ここでは国産牛ですね)のステーキ。
レアで。スーパーで買ったにんにくのペーストなどつけても美味。
いや〜、こんなにおいしいステーキをこんなにたっぷり食べたのは初めてではないかしら。
めちゃ旨い!
さすがお肉の国。やはり新鮮なんですね。
新鮮なお肉はこんな味なのね! と初めて知りました。感動しました。
これで400円弱! というファストフード並みの値段にも驚き。
サーロインですよ。
日本だったら…桁がひとつ違うでしょうね。
(「サーロイン」を手に入れるために母はスーパーで随分苦労した模様。
自らのお尻あたりを指して「beefのここ」とジェスチャーで伝えたりしたみたい(笑)。)
トマトは皮がしっかり厚くて、お日様の味がします。
パンがまた、スーパーで買ってきた65セント(50円くらい)の丸パンでも、驚くほどおいしい。
マッシュルームも炒めて、簡単だけどなかなか豪華な食卓。
結局2月号は「ベルク」本を2冊紹介しました。
年末は忙しくなるので、いつもよりだいぶ早く書きました。
■『新宿駅最後の小さなお店ベルク 個人店が生き残るには?』(井野朋也著、ブルース・インターアクションズ)08年7月発行
■『食の職 小さなお店ベルクの発想』(迫川尚子著、ブルース・インターアクションズ)10年8月発行
どちらもとても興味深く、面白かったです。
井野さんは店長、迫川さんは副店長、お二人は別姓ですが実質上ご夫婦であられます。
井野さんはビートルズがお好きだそうで、お店をバンドに例え、インディペンデントで面白いことを仲間とともにやりたいという気持ちが根っこにあったと書かれていますが、ソイポケを始めたときの気持ちと同じだなぁと思いました。
しかしビートルズにジョージ・マーティンというプロデューサーがついていたように、信用のおけるコンサルタントについてもらっている点がさすが「仕事」です。
迫川さんには、舌で色や形が見えるという特技があるそうです。
あるとき、ビールの味が変わった。卵型で、気持ちのいい風がそよそよと吹いていたのが、先のとがったいびつな形になった…と。
迫川さんは業者さんに、これを絵で表現して説明したといいます。卵形と、尖った変な形と。
本にもこの絵がおさめられていますが、味をこんなふうに表すなんて、すごく面白いと思う!
化学調味料バリバリな食べ物の味は「かたい」と表現していました。
ふと思う。それって音楽に似ているぞ。
コーラスの声を「かたい」と表現する人がいて、面白いなと感じたのだった。
うーむ。舌で感じるもの、耳で感じるもの…通じているのだな。
迫川さんいわく、赤ちゃんのうちは五感って分けられていないんだそうです。
だから大人だって、耳で見たり、舌で見たりすることができるんだって。すごく興味深い。
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お二人の基本コンセプトは自分たちが食べたいものをお客さんに提供するということ。自分たちの見解と信念をもった「味」で勝負している。
腕のいい職人さんを見つけて口説き、その食材を最大限に生かす調理法で(コーヒーなら最適なマシンを使って)お出しする。
そしてそれがこんなにも支持されているというのはなんて素晴らしいこと!
(08年に「退店勧告」を受けたときに集まった反対署名は1万人を超える!)
井野さんは、ビジネスとは単なるお金儲けではなくてライフワークであり、
個人業こそ一生味わい深い時間を過ごすことのできる仕事だと書いています。
それなのに今、個人店は企業によってどんどん締め出されていて、スタートラインにすら立てないという現状…これは個人店だけの問題ではなくて、日本経済の問題だと指摘。
まさにそのとおりだと思うし、これは文化の問題でもありますよね。
だってお店も料理もひとつの「表現」だから。客はお店を選ぶし、お店も客を選ぶ。音楽と同じ。
料理といっても、家庭料理とはまた違う。それぞれの良さがあるな、と思いました。
単なるお店紹介にとどまらず、働き方、ひいては生き方、人生哲学にも通じるような内容で読み応えがあります。
こんな仕事の仕方はじつに素敵だと思う。憧れる。
あ、私信になりますが、ノラックさん。
やはりベルクはぜいたくな店といえそうです。これ読んだらよーくわかりました(笑)
(わたしがコメントで書いたことはこれとはまた別の話なのですが…)
ベルクはとにかく食べ物がすごい。
コーヒーも、ハムも、パンも、ファストフード的なお店でここまで高品質なものを提供しているお店はそうそうないだろうと思います!
ベルク最高!
ここ数年、クリスマスが近づくと母が作るのは、パネトーネというパン。
すごいレーズンの偏り!
よく知らないけど、普通はもっと均等に入っているものなのでは!?
鬼のようなレーズンの塊(とオレンジピール少々)もうれしいけどね。
また新潮クレスト・ブックス。『世界の果てのビートルズ』(ミカエル・ニエミ著)。
スウェーデンの北の果て、北極圏の小さな村「トーネダーレン」で育った作者ミカエル・ニエミの半自伝的小説。
スウェーデンにおける2000年のベストセラーだそうです。
もっと全編バンドとロックンロールの話かと思っていたらそうでもなくて、スウェーデンの自然だとかアルバイトの話だとか(ネズミを捕るバイトなんだけど、とてつもないネズミの大発生…いったいどこまで本当なのか?)、おじさんの婚礼の話だとか、友だちや家族のことだとか、多様な話題がユーモラスに語られている。
まるでコメディ映画を観ているようだ…と思ったら実際2004年に映画化されているとか。
翻訳小説の楽しみってのは、わたしにとっては食べ物の記述って、すごく大きい。
「大草原の小さな家」シリーズしかり、「赤毛のアン」シリーズしかり、いやもっと小さなころから、フランシスシリーズやら何やら、た〜っくさんの絵本たちで、すでに食べ物の記述にばかり夢中になっていた…
おじさんの婚礼のときのご馳走がおいしそうだったなぁ。
これがスウェーデンの北の果てのご馳走かぁ(引用部分はデザートについての記述)。
カンゴス・ビスケットって、なんだろ!
若い娘のほほのようになめらかな甘いロールパン、白くぱりっとしたカンゴス・ビスケット、みごとなパヤラ風クリーム菓子、しっとりしたスポンジケーキ、アイシングをかけた菓子パン、はっとするほど美しい北極地方のラズベリー入りロールケーキ…
それだけでなく、ボウルいっぱいのホイップ・クリームと、太陽と黄金の味がする温めたばかりのクラウドベリー・ジャムも添えられていた。
コーヒーに添えるために、冬用のタイヤほどもある黄金のチーズが転がされてテーブルの上に置かれ、甘いお菓子の中央には、メインである固くて茶色い干したトナカイ肉のかたまりが置かれた。塩気の強いトナカイ肉を薄く切ってコーヒーに入れ、さらにチーズをひとかけかき混ぜながら加え、くちびるに白い角砂糖をはさむ。そして全員が震える指で肉とチーズを混ぜこんだコーヒーを受け皿に空け、それをすすって天にも昇る美味を味わった。
コーヒー&チーズ&トナカイって…! そしてこの独特の食べ方…どんな味なの!?
というように、食べ物って異文化そのもの。異文化をもっともダイレクトに感じるのよね。
しかし世界共通の事項もあるわけで、それを発見するのがまた面白い。
父親が大人になる心得として話す内容には、身につまされたというかなんというか…
憂鬱な思いにふけるのも、心を病む原因のひとつだった。ものごとをあまり考えすぎてはいけない、できるだけ考えないようにしろ、考えるっていうのは、すればするほど心を傷つけるからな、と父さんはぼくに忠告した。その毒を消すには、きつい肉体労働が効く。雪かきをしたり、薪を割ったり、クロスカントリー・スキーをしたりするのが一番だ。なぜなら、ソファに座ってだらだらしたり、なにかに寄りかかって休んだりしているときに、人は考えるってことを始めがちだからだ。
(略)
とりわけ大切なのは、宗教についてくよくよ考えないことだ。神と死と人生の意味なんていうのは、若くて傷つきやすい心にはきわめて危険な問題だ。うっそうとした森のように、たちまち道を見失って、最後には深刻な狂気の発作に襲われる。そういうのは歳をとるまで安心して放っておけばいい。そのころにはおまえも頑固になって強くなっているし、ほかにたいしてすることもないだろうからな。
(略)
なによりも危険で、なによりも警告したいものがある。それは読書だ。そのせいで、大勢の不運な若者がたそがれの狂気の世界へ追いやられた。このけしからん習慣は、若い世代のあいだに広がっているようだが、ぼくがその傾向をまったく示していないことが、言葉では言いつくせないほどうれしい、と父さんは言った。精神病院は本を読みすぎた連中であふれている。その連中も、昔は父さんやぼくと同じように、強い体を持ち、率直で、快活で、バランスがとれていた。それなのに彼らは本を読みはじめた。
やだー、これ笑いながら読むところかもしれないけど、笑えないよ〜!
だって、よく考えること、宗教や死の問題を考えること、読書すること…!
まさに三大悪事にいそしんでいたわたしだもの(笑) やばいやばい…
お父さん、めちゃいいこと言う! 言い得て妙!
(あう〜自虐的だな〜)
10代〜20代、わたしにもこんなこと言ってくれる人がそばにいたらよかったのになぁ…
母が作ってしまった。
長野のみすゞ飴風お菓子。ぶどう味。
手づくりのぶどうジュースを使って。
わたしは最後の最後にグラニュー糖をまぶすところだけやりました(笑)
おいしい。
次はキウイでやってみるってさ。楽しみ。
人と人が出会って、他愛もない話をして、コーヒーを飲んだりパンを食べたり、お豆腐やさんの店先でお豆腐を食べたり、夜になったらウイスキーを飲んだり、ただそれだけの映画です。
心地いいなと感じる色んな音がする。
水割りをつくるときの、マドラーで混ぜるカラカラという音。
お豆腐を水からあげるときの、ちゃぽんという音。
かき揚げを揚げるときの、パチパチという音。
目にも心地いいよ。
ウイスキーの琥珀色とか、そら豆の緑とか。卵焼きの黄色とか。
あ、それは料理をするときの喜びに近いのでは。それを映像で見せてくれてるような。
のーんびりと生活している人たち。
わたしもこの人たちの中に、加わりたい。お豆腐やさんのお豆腐をスプーンですくって食べたい。
もたいまさこさんがまたもいい味を出していて。粋なおばあさんを演じておられました。
「今日も機嫌よくおやんなさいよ!」。
わたしもこんな言葉をかけられたいよう。
でも、たぶんこれ、すごく当たり前の世界。
ああ、いいなあ、
って観る人が感じるってのは、当たり前が失われちゃってるってことなのかも。
マスコミ試写会で韓国映画『ハーモニー』鑑賞@ショウゲート試写室(渋谷)。
コーラス好き、感動もの好きとしてはぜひ観たい、そして2月号のネタはこれで決まり!
と安心していたわけですが、ダメだ紹介できないや…(配給会社さんごめんなさい)。
いや、これでもかと泣かせてくるので大泣きしましたが…
ベタなんです、何もかも。
昔の大映ドラマみたい。ベタで突っ込みどころ満載、っていう…
受刑者各自がそれぞれの事情を抱えた女子刑務所。その中で合唱団が結成され、感動のステージを行うというストーリーなんですが。
刑務所の中で出産し、18カ月しか一緒にいられず、法によって引き裂かれた母子。その再会。泣けないわけがないです。でもベタすぎる。
最初は下手だった歌が見違えるように上達して…ってのは観る前から想像できた展開ですが、その「下手」が下手で…つまりわざと下手に歌っているのが丸見え。わざとらしいんですよ…
最終的には、ありえないほどうまくなってるしさ〜。
そして、はしゃいでるとき、ふざけているときのテンションの高さはなんでしょか!?
やたらと喧嘩っ早いのも、なんでしょか!?
って、しつこいですが、泣くんですよ。それも号泣です。
人生にはなんて悲しみが多いんだろう、と…
でもなぁ〜、これを紹介するのは無理だ〜
ああ、ネタが決まったと思ったのに…! 何にしよう…2月号…