文月遊亀 memo*

日々のこと、音楽や本のこと、心の赴くままに書いています。
簡単な自己紹介はプロフィールにて。

コメント大歓迎です。ピンとくる記事がありましたら気軽に書き込んでいただけるとうれしいです。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | -
10月26日(日)母もの2点
最近、読みながら涙が出て困る作品を2点読みました。
どちらも母もの。こういう本は、電車で読んでいるとき涙が出てくるので本当に困る。

1つは、三浦綾子『

『蟹工船』の小林多喜二の母親セキさんが一人称で語る形式をとった小説。
もう1ページ目から、「わだし」っていう言葉だけで泣けてしまって、参りました。
「わだしには、なんであんなに優しい多喜二が、警察に殺されなきゃならないか、わかんない」「わだしは無学だからむずかしいことはわからないけど、多喜二が悪いことしたとは思えない」。

小林多喜二という人は、貧乏ながらもあたたかい家庭で育って、本当に優しい人だったようです。
それだけに、セキさんの気持ちを思うと、辛くて辛くて、やりきれない。
警察に殺された多喜二と、十字架に磔にされたキリストと結びつけるところはさすがに三浦文学でした。

もう1つは、藤原てい『流れる星は生きている

戦後、ベストセラーになったそうです。
小さな子どもを3人連れて満州新京から命からがら日本へと引き揚げてくる過程を描いています。
1歳に満たない子どもを背中にくくりつけ、7歳や4歳の子どもを、男言葉で叱咤激励し、いくつもの山を登り、いくつもの川を渡り、何度も命を落としそうになりながら、日本までたどり着く。何日も大豆だけをかじってしのぎ、泥水を飲み、みんな栄養失調で、足は血だらけ。小石がいくつも肉に食い込んで倒れそうに痛くても、ひたすらに歩き続ける。

よくぞ、本当によくぞまあ。本当に母は強い、人間の底力というのはすごい。

「お母さん、僕のをあげるよ。お母さんお腹がすいておっぱいがでないでしょ」と、7歳になったばかりの長男が、飢えていながら、半分食べ残して歯形のついたお芋を差し出すところなど、いじらしくて、胸がしめつけられそうになる。

朝鮮の人に「何かください」という言葉がどうしてもいえなくてのどのところでかすれたような声になってしまった、ていさん。「日本人にものをあげることはできない。だからわたしの捨てたものを拾ってください」と言って器に山盛りのご飯をおいて姿を隠した朝鮮の人。
伝染病にかかってしまった長男に、一本1000円する注射を打ち、250円にしかならないといわれた時計を受け取ってそれでよしとした医者。

こうした人と人とのあたたかいつながりに、胸が熱くなる。

だけど、ていさんはそんな人間の善なる部分と同じくらい、あるいはもっとたくさん、人間の悪の部分――自分だけが生き抜ければいいという利己主義、さもしさ、醜さなど――も、見聞きしたり経験したりする。
この過酷な状況で、いっそ死んでしまったほうが楽だと考えながら、それでも生き抜いた記録は実に壮絶。母親の強さ、子どもへの愛情、戦争の悲惨さを伝えてくれています。

そうそう、ていさんの夫は作家の新田次郎さん、次男の正彦ちゃんは、数学者の藤原正彦さんなんですよね。
| 本・雑誌 | 23:54 | comments(0) | trackbacks(0)
10月23日(木)今度はナシ酒
コーヒーのお酒に続き、今度はナシのお酒に挑戦です。
新聞で見て、気になって切り抜いておいたレシピ。肺を潤し、口や鼻、のどの渇きを癒してくれる、空気が乾燥してくるこれからの季節にぴったりのお酒だって書いてあったから。

ナシは大好きな果物だし、ホワイトリカーがまだ残ってたし。

ナシを皮付き種付きで8等分して瓶に入れ、ホワイトリカーをドボドボっと注いで終わり。
楽しみ〜……と思いつつ、ちょいとナシ酒で検索してみると。出てきたブログの記事には、ナシ酒を作ったけど、香りもなく、ホワイトリカーそのもの、なんて書かれてた。えー、そうなのー?

| 食(つくる、食べる。お店も) | 23:17 | comments(0) | trackbacks(0)
10月22日(水)「洋食入船」でかきフライ
珍しく外でランチ。
洋食入船」という、こんな一軒家で、大正13年創業の歴史あるお店。

訪れるのは2度目でしたが、何とも飾り気のない、洋食屋というより定食屋、食堂という感じのお店。音楽や照明や座り心地の良い椅子といった、そういう雰囲気を楽しむお店ではないです。

看板娘は、可愛らしいおばあさん。清潔感があって働き者といった感じの……そう、「おばあちゃんのぽたぽた焼」のイラストで描かれているような、絵に描いたようなおばあちゃんです。大正14年生まれだとおっしゃっていました。


わたしはかきフライを食べました。これからの季節は、かきでしょう! と思って。今年初の、かき。
三陸海岸でとれたものだそうで、大きくてぷりぷりで熱々で、少し舌を火傷してしまった。
少しだけタルタルソースがついてたけど、ソースで食べるのがおいしい。
結構たっぷりのっかっていたのに、あっという間に食べてしまう。

おばあさんと食後少しお話した。
大森海岸で泳いでいたというお話と、海でしゃこをとってたって話。
ここはそんな場所だったのだなあ。
 

| 食(つくる、食べる。お店も) | 23:10 | comments(0) | trackbacks(0)
10月20日(月)病院にて
仕事でとある大学病院に行く。
帰るとき、病院内の公衆電話の電話口で、「もういやだ〜」と言いながら泣き崩れている女性を見かけた。
何があったのかはまったくわからないけれど、病院内では毎日ドラマが起こっているんだろうなと思った。
だけど、わたしたちが何気なく過ごしてるような日々だって、気づかないだけで本当はドラマの連続なんだよね、とも思う。

-----
ところで、いま仕事で参考にしている本で、すごい本があります。
石橋克彦著『もう忘れない!早わかり心電図』(メディカ出版)

心電図を恋の始まりから終わりに例えて説明したりしている。こんなこと、一体だれが考えつくでしょう!
冠動脈を九官鳥のキューちゃんのくちばしで説明したり、比喩がすごい。すごすぎる。
心電図をなんとかわかりやすく伝えたい、理解してほしいという気持ち、愛が伝わってきます。
わたしが新人看護師ならこの本は買うだろうな。
| 仕事 | 23:48 | comments(0) | trackbacks(0)
10月18日(土)「CASA ARTISTA」にて
大久保の「CASA ARTISTA」というスペイン料理のお店で、マスコミで働く女子の皆さんが集まる会に参加。
お店自体、一種独特の濃い雰囲気。
集まる女子もテンション高い。

出版だけでなくテレビや広告業界の方もいらして、職場によく来ていたH堂の人たちの雰囲気を思い出した。

「情報を発信するには無駄にパワフルでなきゃ!」という某美術大学教授のお言葉も思い出した。

-----
フラメンコショーが素晴らしかったです。フラメンコを見るのは実は初めて。
男性の踊りが素敵でした。あんなに足を踏み鳴らすものなのね。非常に激しいステップで圧倒されました。

6拍子のリズムで、激しいリズムで物悲しいメロディー。いわゆる洗練された美しさとは違う。ヨーロッパのはじっこの、荒削りな、土臭い雰囲気で、さすがラテン、さすが闘牛の国、と思いました。
| 日記 | 23:44 | comments(2) | trackbacks(0)
10月17日(金)やっぱり方向音痴
年下男子と銀座でごはん。「人生の先輩」と慕ってくれていてたまにごはんなど食べている。ありがたいことだけど、わたしと会うことで何か得ることなどあるんだろうか…。無駄なことが嫌いな彼なので、ちょっと不思議ではある。

待ち合わせは「銀座8丁目」の書店で、新橋から歩くといいとのことだったのだけど、地図で場所は確認できても、どっちに進めばいいのか全然わからなくて、迷っては駅まで戻って考え、というのを3度もやってしまった。

結局、駅の地図の前で、「ここだよね、わかるわかる」と、まさにわたしの目指している場所を指差しているカップルを発見し、彼らの後を尾行して無事到着。
たった5分くらいで着くような場所だった。われながら呆れる。

初めての場所で、夜、というのは、方向音痴には一番厳しいパターン。人を待たせてると思うとますます焦る。焦るとますますわからなくなる。参った。

■村上春樹『東京奇譚集

今日、話のなかで出てきた作品(短編集)。「姉の結婚式に出席しない弟が出てくる話」と言われて、ぜんぜん思い出せなかった。「最初の方の話」「ゲイの人で」という情報で少しだけ記憶が蘇ったけど、どんな話かさっぱり思い出せず。
気になるので読み返してみたら、乳がんとほくろつながりの話だった。ショッピングモールで読書していたときに偶然ディケンズの同じ本を読んでいたことで知り合ったとか、イタリア製の下着とか、そういうキーワードをあげてくれたらたぶん思い出せた。
同じものを読んでいても、記憶に残る部分が人によって全然違うんだなあと思った。

| 日記 | 23:33 | comments(0) | trackbacks(0)
10月13日(月)ディープヨコハマニコニコツアー
というわけでなんと今日も黄金町。かつて住んでた街なので全然違和感はないんだけどね。
今日は、黄金町に新しくできたお店の1つ、「聴き舎」の田村さん主催の「ディープヨコハマニコニコツアー」に参加しました。

なんだか、高校時代の友人の、「ゆきちゃん、そんないかがわしいところに行っちゃうの〜? うそおおお。そんなイメージないんだけど!」という声が聞こえてきそう…。
これは普通の横浜人の意識。まあ実際カオスだしラビリンスだし、これは偏見ではなくて正しい見方なのです。

-----
わたしはいわゆるディープゾーンとはちょい離れた駅の反対側の地域に住んでいたし、映画館などディープゾーン内に足を踏み入れることもあったけど、大学生の頃は小走りでけっこうドキドキしながらだったのを覚えてる。

なので、10年間住んでいた、よーーく、よおおおーーっく知ってる地域を、案内されてまわるのは変な感じがしたけれど、足を踏み入れたことのなかった地域はいっぱいあるのだった。そういうところにも解説付きでまわったのは面白かった。
それに何しろわたしは、横浜の子どもたちが学校で教わるような横浜の歴史を全然知らないので(義務教育はこっちじゃないから)、歴史的な話はとても興味深かったです。

もちろんその他、風俗店・ストリップ劇場、売春宿のこと、グルメ情報など知らない情報てんこ盛り、充実のツアーでした。
   
 

「ソイポケ」2号でけいサンと歩いたときはまだあった「かもめ座」が取り壊されて跡形もなく、その前の駄菓子屋さんにあったピンボールは壊れて箱だけになり、椅子の上では黒猫が丸くなって眠ってた。

-----
日の出町・黄金町は、のんびりした地方都市で育った15歳のわたしにとっては、あまりに強烈な街でありました。
図書館があり映画館があり、音楽堂など文化施設もあり、古本屋も多く、住むうちに愛着が湧くようになってきたのだけど。
でも、最初のうちは、田んぼがないことに息苦しさを覚えるくらいだったので、ドギツイ色合いのいかがわしいお店はあまりにインパクトが強かった。と同時に他の都会を知らないから、都会というのはこういうもんかあ……と驚き圧倒されつつも受け入れるしかなかった。

でもここは普通の都会とはちょっと違ってたんだよね。
独特の歴史を刻んできた街なのだということが今ではよくわかるし、今日ツアーに参加してますますその意を強くした。

-----
遊郭があった福富町あたりと、横浜橋商店街は、まったく初めて訪れました。福富町は柳の木が遊郭があった時代を彷彿とさせ、横浜橋商店街は活気があって良い感じの商店街でした。
駅から降りてまっすぐ家に帰るばかりだったけど、ちょっと反対側に行けばこんな商店街があったとは!! ほんと知らなかった。知らなかったことも驚きでした…。

福富町の「コーヒーマツモト」で一休み。濱マイクに登場する喫茶店です。
 
メニューもミルクセーキやココアなど、古き良き喫茶店メニューだし、店内も昔ながらの雰囲気で素敵です。すごく落ち着ける。
わたしは雰囲気につられて、普段は飲まないクリームソーダなどいただいてみました。

-----
横浜はみなとみらいだけじゃない、このあたりの面白さを伝えたい!と思ってソイポケ2号で取りあげたけれど、まさかこんなにも注目を浴びる街になるとは……。
ここで新しく出会った方と街を歩き、歴史を学ぶということがとても不思議で面白い。

それと、わたしは友だちと遊ぶときはいつも東京だったので、ここでご飯を食べお酒を飲んでいるということが、とても不思議だし、とても嬉しい。近いところで遊べるって便利。こんなことは初めて。感激です。
| 日記 | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0)
10月12日(日)映画「フツーの仕事がしたい」
シネマJ&Bにて、土屋トカチ監督の『フツーの仕事がしたい』を観ました。
土屋さんはソイポケでお世話になった方だし、上映後マーガレットズロースがミニライブをやるというので、行ってきた。

きちんとした保障もなく長時間働かされて、上に物申すこともできず、働かなければ実入りが減る。そういう人がフツーの仕事がしたいと切実に思い行動するドキュメンタリー映画だった。

働くというのは大変なことだ。
労働法を無視した職場がたくさんあるのだなあと思った。なんともやりきれない気持ち。労組の偉大さも思い知った。

そしてわたしは、個人的に色んな思いがわきおこってきて、辛かった。本当のことを書くと、実は観るのは少し怖いような気持ちもあったのです。だから案の定というか。
感想を書くと間違いなく非常に個人的で、読んで楽しくないものになってしまうのでやめておきます。

その後念願の、黄金町に新しく誕生したお店、「JOINT」の2階で軽く飲みました。和気あいあいと、楽しかった。
「JOINT」など大岡川沿いに新しくできたお店の紹介はこちらにあります。

天井を高くしてお洒落にしているけれど、でも、ああ、やはり何ともすごい空間です。
この場所にいるだけで色んな想像をかきたてられる。
会話に集中できないといっては大げさだけど、BGMで気になる音楽がかかっているときとちょっと近い感覚かな。音楽の方に気を取られてしまう感じ。
なんといったらいいかわからないのですが。
うまくいえないことだらけです。

話が前後しますが、映画の前には「黄金町バザール」をひやかしました。
これがとても楽しかった。現代アートはやはりコミュニケーション型。作家さんとじかに触れ合える醍醐味があるし、参加して自らも手を動かす楽しさもあります。

臨時の飲食店もあちらこちらにあり、「ヒガシノミソラ」というお店でミソラ焼きなるお好み焼きを食べました。ソース味のとろとろ焼きと塩こしょうのお好み焼きとを、Nさんと二人でシェアしたのだけど、わたしは塩が気に入った! 焼き加減もパリッとして、おいしかったです。

ヒガシノミソラさんは、水木しげるのふるさと、鳥取からおいでになったそうです。
思わず店長さん(料理人の方)に「鳥取からわざわざ黄金町にお越しいただいて、ありがとうございます!」と言ってしまった。
優しい口調の店長は、「いえいえ、鳥取なんて近いほうですよ。沖縄からいらしてる方とかいらっしゃいますしね」とおっしゃっていました。

黄金町バザールは毎年開かれるのかと思っていたら今年限りなのだそうで。
無料だし、興味のある方はぜひ行かれたほうがいいと思う。
休日にリフレッシュできること間違いなし。とても楽しい空間ですよー。おすすめです。

11月末まで開催で、わたしもまた行ってみようと思うので、行ってみたいという方は声をかけてくださいませ。
 
↑沖縄のアーティストの方の作品。
左は、沖縄の海や森などの写真を細かく切って、こより状にまいて作ったわっか。わたしも一つ作って、つなげてきました。現在進行形の作品。

なんとここで、映画祭ボランティアで出会った方と遭遇!
明日の「ディープヨコハマニコニコツアー」の話をすると、「参加したい!」とのことで、一緒に参加することに。
というわけで、明日に続きます。
| 映画 | 23:53 | comments(0) | trackbacks(0)
10月6日(月)金木犀
今日、この秋初、金木犀の香りを感知しました。
子どものころから本当に大好きな香り。
小学校高学年のころは友だちと花を摘んできて(拾ったりも)、ティッシュに広げて乾かして、ポプリを作ってたっけな。

沈丁花もジャスミンも素敵だけど、わたしは金木犀が一番好きかもしれないなあ。
この季節も大好きです。
| 暮らしの楽しみ(食以外) | 21:35 | comments(3) | trackbacks(0)
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< October 2008 >>
Maukie
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
LINKS
PROFILE

/ 1/1PAGES /