映画『
ゆれる』。
思ったこと、2つ。
人は、妬みという感情をもつ。負の感情だけど、人間らしい感情。隣の芝は青いのだ。
あと、人は必ずしも事実を見るわけではない。思いこみによって見え方が変わってしまうことがある。気持ちのゆれによって。怖いな人間の心って。
西川美和監督って、センスいいなあ。
特に前半、事件が起こるまでの心理描写のうまさにやられた。
ガソリンスタンドのシーン。
母親の一周忌の夜、弟と兄が会話をするシーン。洗濯物をたたみながら兄の後ろ姿が何かを語る。おそらく口で言ってることとは違うことを。
このシーン、すごくぞくぞくする!
こういう細かな感情の機微を描くのがうまいのは女性監督ならではかもしれない。
結局事件の核心部分はわたしたち観客には見せられていないので、後の関係者の証言によって判断するしかないのだけど、これが、実際のところがわからないのと、本人や周りの証言が発言がころころ変わるため、非常に混乱させられる。ゆれる、ゆれる。
兄は、彼女を突き落としたのか、助けようとしたのか。
兄が面会室で弟を怒らせてしまう場面がある。
1回目は唾をはきかけ、2回目は人格を否定することを言う。
殺人犯の弟になりたくないんだろう、だから無実を信じてるふりをしているんだろう、みたいなことを。
あれはなぜだったのだろう。
そしてその直後の公判では、弟は兄が有罪となるような決定的な発言をする。
兄の発言にカッときたからなのか、図星だったからなのか。
ああー、わからん。
とりあえずわたしは兄の殺害を信じて見ていたのだ。
しかし最後にどんでん返しが待っていた。
結局はハッピーエンド、なのかな。心に残るラストシーン。
そう思いたいけど、わからない。ゆれる、ゆれる。
いやあ、色んな見方ができる奥の深い映画です。
香川照之がすんごく良かった。オダギリジョーも良かったけど。
すごい映画です。
「ゆれる」っていうタイトルも秀逸だよなあ。