昨日の日記で書いた、女の子とマフィンが出てくる本、気になって図書館で探してきた。
著者名もタイトルもわからないから、子どもの本コーナーで「外国の本」の棚に並んでいる本をひとつずつ見ていくしかない。
3つの棚の両側を、片側、そして反対側…ぐるぐる歩きながら見て、最後の棚の反対側、もうあと残り僅か。やっぱり無理か、とあきらめかけたそのとき目に飛び込んできたのが『みにくいおひめさま』という背表紙の文字。
タイトルもすっかり忘れていたのになぜかピンときて、「こ、これだ!」。思わず小さくつぶやいていた。
さっそく読んでみたら、記憶がばあーっとよみがえってきた。
そうそう、傲慢で何もできない王女さま(エスメラルダ)が、自分で自分のことをするようになって、目が輝き、口の両端が上がり、鼻が下を向いた美しい王女になるって話だったんだ。
なわとびに、針仕事、庭仕事、アイロン、ケーキ・パンづくり…。王女にうまれたというだけで何もできない自分に気づき、謙虚になるそのたびに、目、口、鼻がかわいらしく生まれ変わる、というお話。
わたし大大大っ好きなお話だった。絵もやわらかくって、水彩のにじみが美しくて。
この本、たぶん女の子ならみんな好きになると思う。
今日読んで、エスメラルダは拝金主義、頭でっかちで何も出来ない現代人を象徴してるなあと思った。
このイラストで上の方に描かれているのは、「ハンドルに銀のかごのついた最高の自転車」です。
なかがわそうやさんって、
『ももいろのきりん』中川 李枝子著の挿絵の人だったんだ! 確かに同じタッチ。
で、気になるマフィンの部分はこんなのでした(↓)。
それは、小雨のふる、おひるすぎのことで、家のなかは、しずまりかえっていました。グッドイット夫人も、子どもたちも、(略)おひるねをしていたからです。
目をさましているのは、エスメラルダだけでした。
(中略)
こんな雨の日など、ランプにひがともされて、おぼんの上にマフィンがのってでてくるのだったということなどを、おもいだしていたのです。
(中略)
そして、きゅうにまた、あのあたたかくて、ぱりぱりしてて、バターのたっぷりはいったマフィンを、たべてみたくてたまらなくなりました。
「つくろうっと」。
(中略)
みんなが目をさまして、エスメラルダをさがしにやってきたとき、ちょうどこのかわいい王女は、とくいまんめんで、ふちがかりかりしたきつね色のマフィンを、どっさりオーブンからとりだしているところでした。
そうか、雨が降ってる日にマフィンを作ったんだった。この本の影響で、わたしマフィンといえば雨が連想されるようになってしまったんだ。
マフィンでアメリカの作品じゃないかと思ったのも正解。著者はアメリカ人でした。
でも記憶違いだったのは、けっして上手に焼けるようになったわけではなかったってこと。
エスメラルダのマフィンは、せかい一じょうできのマフィンではなかったかもしれません。――まんなかは、すこしばかりなまやけのようだったし、よくみると、はしがすこしひしゃげていました。でも、たとえ、どんなマフィンがやけても、エスメラルダは、これほどよろこびはしなかったでしょう。
でも自分でやってみようというその気持ちだけでみんなは大喜びしてくれて、エスメラルダはにこにこ。口の両端が上がり、またひとつ美しくなるのです。
こんなふうに。
ネットで検索したら、残念ながら現在絶版みたいですね。いい本なのになあ…。
■『みにくいおひめさま』フィリス・マッギンリ- (著), なかがわ そうや (イラスト), まさき るりこ (翻訳)
見返しの絵まで大好きだった。このお花、素敵でしょ。ちょっとmarimekkoみたい。