ソイポケ集会の後、高円寺に行ってバンド仲間のYさん、いやY先生にギターをおそわる。ロックバンドでエレキギターを抱えて立って歌う、っていうのはわたしの夢であった。
その夢を叶えるため。
スタジオではなくカラオケ屋に行って練習。
ギターは西荻で一人暮らししてたころに弾くようになった。フォークギターでアルペジオばっかり練習してたから、ピックで弾くのが慣れない。持ち方弾き方がおかしいと言われる(それはよく言われる)。
Y先生はコードブックに載っている押さえ方以外のことを色々おしえてくれた。押さえ方だけでなくて、ギターという楽器の構造みたいなことも含めて教えてくれる。いい教え方だと思う。が、頭が混乱。
弟にギターをちょっとおそわったときとはだいぶ違うと思った。
やつはまず歌ありきで、歌いたいけどギター弾く人がいないから仕方なく弾いてる、みたいなところがあるから、ギターの教え方がかなりゆるい。「大体そんな感じだよ!」てな。
Y先生はギターありきな人、ギター大好き人間だから、全然違う。
教え方が厳しい。ゆるくない。もっと適当でいいと思っていたわたしは正直ちょっと驚いた。
ともかく悪戦苦闘しながら指導を受けるうちに、ふっと、「あれ、だけどギターをわたしがとっちゃったらY先生、この曲のとき何してるんだ?」と思って口にすると、「そうだよ。何してたらいいんだ? 俺ギターしか弾けないよ。寝てようかな」って。
そうだった! これは大問題。
たとえば高校生とかで初めてバンドを組んで、みんなあまり楽器に慣れなくて、いわゆる“初期衝動”ってやつで下手なギターで演奏しちゃうっていうのは、もうできないことなんだな、と思った。
もうそういうことができる季節はとっくのとっくに過ぎちゃっているんだと思い知った。
やっぱりそのときにしかできないことって、あるんだな。
今わたしのやってるバンドは、それなりに皆さん楽器歴があり、技術もある。そういう人たちが集まって演奏するんだから、わたしだけが初期衝動的な下手なギターをやるわけにはいかない。
ロックだからできる、つまり多少いい加減でもいいんだって思ってたけど、それは違ってた。それなりの難しさがあるし、何よりこだわりのあるギタリストが二人もいるバンドで、わたしのギターが認められるわけがない。
カラオケ屋にいる間に、何がなんでもやってやる! っていう熱意がシュルシュル〜ッとしぼんでいって、そんなふうに考え始めた。
ただ、エレキ2本、わたしがフォークで歌うっていう形ならアリだという案がY先生から出された。それもいいかもしれない。
だから一応今日おそわったことは復習することにします。
Y先生、どうもありがとうね。