文月遊亀 memo*

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12月14日(火)『世界の果てのビートルズ』

また新潮クレスト・ブックス。『世界の果てのビートルズ』(ミカエル・ニエミ著)。

スウェーデンの北の果て、北極圏の小さな村「トーネダーレン」で育った作者ミカエル・ニエミの半自伝的小説。
スウェーデンにおける2000年のベストセラーだそうです。

もっと全編バンドとロックンロールの話かと思っていたらそうでもなくて、スウェーデンの自然だとかアルバイトの話だとか(ネズミを捕るバイトなんだけど、とてつもないネズミの大発生…いったいどこまで本当なのか?)、おじさんの婚礼の話だとか、友だちや家族のことだとか、多様な話題がユーモラスに語られている。
まるでコメディ映画を観ているようだ…と思ったら実際2004年に映画化されているとか。

翻訳小説の楽しみってのは、わたしにとっては食べ物の記述って、すごく大きい。
「大草原の小さな家」シリーズしかり、「赤毛のアン」シリーズしかり、いやもっと小さなころから、フランシスシリーズやら何やら、た〜っくさんの絵本たちで、すでに食べ物の記述にばかり夢中になっていた…

おじさんの婚礼のときのご馳走がおいしそうだったなぁ。
これがスウェーデンの北の果てのご馳走かぁ(引用部分はデザートについての記述)。
カンゴス・ビスケットって、なんだろ!

若い娘のほほのようになめらかな甘いロールパン、白くぱりっとしたカンゴス・ビスケット、みごとなパヤラ風クリーム菓子、しっとりしたスポンジケーキ、アイシングをかけた菓子パン、はっとするほど美しい北極地方のラズベリー入りロールケーキ…
それだけでなく、ボウルいっぱいのホイップ・クリームと、太陽と黄金の味がする温めたばかりのクラウドベリー・ジャムも添えられていた。
コーヒーに添えるために、冬用のタイヤほどもある黄金のチーズが転がされてテーブルの上に置かれ、甘いお菓子の中央には、メインである固くて茶色い干したトナカイ肉のかたまりが置かれた。塩気の強いトナカイ肉を薄く切ってコーヒーに入れ、さらにチーズをひとかけかき混ぜながら加え、くちびるに白い角砂糖をはさむ。そして全員が震える指で肉とチーズを混ぜこんだコーヒーを受け皿に空け、それをすすって天にも昇る美味を味わった。

コーヒー&チーズ&トナカイって…! そしてこの独特の食べ方…どんな味なの!?
というように、食べ物って異文化そのもの。異文化をもっともダイレクトに感じるのよね。

しかし世界共通の事項もあるわけで、それを発見するのがまた面白い。
父親が大人になる心得として話す内容には、身につまされたというかなんというか…

憂鬱な思いにふけるのも、心を病む原因のひとつだった。ものごとをあまり考えすぎてはいけない、できるだけ考えないようにしろ、考えるっていうのは、すればするほど心を傷つけるからな、と父さんはぼくに忠告した。その毒を消すには、きつい肉体労働が効く。雪かきをしたり、薪を割ったり、クロスカントリー・スキーをしたりするのが一番だ。なぜなら、ソファに座ってだらだらしたり、なにかに寄りかかって休んだりしているときに、人は考えるってことを始めがちだからだ。
(略)
とりわけ大切なのは、宗教についてくよくよ考えないことだ。神と死と人生の意味なんていうのは、若くて傷つきやすい心にはきわめて危険な問題だ。うっそうとした森のように、たちまち道を見失って、最後には深刻な狂気の発作に襲われる。そういうのは歳をとるまで安心して放っておけばいい。そのころにはおまえも頑固になって強くなっているし、ほかにたいしてすることもないだろうからな。
(略)
なによりも危険で、なによりも警告したいものがある。それは読書だ。そのせいで、大勢の不運な若者がたそがれの狂気の世界へ追いやられた。このけしからん習慣は、若い世代のあいだに広がっているようだが、ぼくがその傾向をまったく示していないことが、言葉では言いつくせないほどうれしい、と父さんは言った。精神病院は本を読みすぎた連中であふれている。その連中も、昔は父さんやぼくと同じように、強い体を持ち、率直で、快活で、バランスがとれていた。それなのに彼らは本を読みはじめた。

やだー、これ笑いながら読むところかもしれないけど、笑えないよ〜!
だって、よく考えること、宗教や死の問題を考えること、読書すること…!
まさに三大悪事にいそしんでいたわたしだもの(笑) やばいやばい…

お父さん、めちゃいいこと言う! 言い得て妙!
(あう〜自虐的だな〜)

10代〜20代、わたしにもこんなこと言ってくれる人がそばにいたらよかったのになぁ…

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