趣味と実益を兼ねた仕事でBunkamura
「ピカソとクレーの生きた時代」展へ。
渋谷は久しぶりだなあ。
タイトルから、ピカソとクレーがたんまり観られるのかと勘違いしそうだけど、デュッセルドルフにある「ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館」が改修工事により休館するので、日本にそのコレクションの一部がやってきたということらしいよ。
つまり「ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館」展ということ。日本人にとってはマイナーな美術館だしこれではあまり面白みがないなので、「ピカソとクレーの生きた時代」展としたのだろうね。
同館の誇る、ピカソ、クレー、ミロ、シャガール、マグリット、エルンストなど20世紀美術コレクションがずらり、でした。
一つひとつの絵に解説がしっかりついていて、見応え十分。一応仕事でもあるのでメモしたりしながらじっくり観て(どんどん後から来た人たちに抜かされながら)、大満足でした。
本物ってやっぱりすごいね。印刷物とは違うね。当たり前だけど。
ああ、これが一枚でも部屋にあったらなあ……。
それがダメなら、すぐ近くにあって、いつでも会いにいけるんだったらなあ……などと考えてしまいました。
やっぱり何度も観ないとその良さは本当にはわからないように思うんだよね。
最近、本は2、3度読まないと自分のものにならないんじゃないかと思い始めていて、絵もそうだなあと思ったのです。
一番気に入ったのは、クレーの「黒い領主」という作品です。
谷川俊太郎さんが詩をつけている『クレーの絵本』という本の中では「黒い王様」となっている作品ですが、この黒の魅力を印刷技術でもって伝えるのは至難の業なのだろうなと思いました。
つまり、本物と印刷は全然違っていたのです。
この漆黒の魅力! これだけでも一見の価値ありだと思います!
ちなみに、こんな絵です。でも本物と全然違います。違いすぎる!!
ノルトライン=ヴェスファーレン州立美術館を全然知らないのでどんなラインナップなのかなと思っていたけど、シャガールの「鏡の前の女」とか大作もあって、意外と、なんて言ったら失礼だけど、貴重な展覧会だなと思いました。
パウル・クレーの絵は、もう、大好きです。
嫌いという人に会ったことがないけど。
スイスの音楽家の家に生まれたヴァイオリン奏者でもあったのですよね。
それは知っていたのだけど、ドイツの造形美術学校、バウハウスで教鞭をとっていたこともあること、ナチスによる前衛芸術弾圧にあって故郷スイス・ベルンに亡命したこと、晩年は皮膚硬化症という原因不明の難病を患ったこと……は、知りませんでした。
1914年のチュニジア旅行を契機として色彩に目覚めたということも。
ナチスも難病も、クレーの素晴らしい世界を損なわせることはできなかった。
その絵は、可愛らしく、美しく、やわらかく、楽しい。そして、そうであればあるほど、何ものにも屈しない、クレーの人間としての強さを感じさせるのでした。
■おまけ
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NYのMoMAで観た「猫と鳥」です。→
本物。
ポスターを買ったんだけど、しまいこんだままでした。
思い出して壁に貼ってみた。部屋に入るとにゃんこが迎えてくれます。